ごあいさつ

日本看護倫理学会第10回年次大会を2017年5月20日、21日に大分県で開催いたします。学会設立後の10回目となる節目の大会を大分県で開催させていただくことに心より感謝申し上げます。

第10回の大会テーマは「看護の新たな歩みを支える倫理」としました。

看護専門職にとって看護倫理が実践の基盤にあることは言うまでもありません。今日の看護をみてみますと、超高齢社会に伴って地域包括ケアへの動きが急速に展開しており、看護師に求められる役割がこれまで以上に大きくなって参りました。2015年に制度化しました「特定行為に係る看護師の研修制度」はその1つであり、保健師助産師看護師法の一部改正とともに、医師の手順書をもとに研修を受けた看護師が特定行為を実施することが認められました。厚生労働省は2025年にむけて10万人以上の看護師を育成することを公言しております。

ただ、看護界の中でも様々な解釈や議論がまだある現状のように思います。1つ間違いなく言えることは、看護師の倫理観がこれまで以上に重要になるということではないでしょうか。これは特定行為を行う看護師にとどまらず、多様な看護の領域で各々が倫理を考える大事な時ではないかと感じております。

大分県は、患者さんへの貢献を目指して看護の役割拡大を発信し、看護師の特定行為研修を大学院教育で最初に始めた地です。今回のテーマをとりあげたのは、そのような経緯もあり、あらためて看護倫理について参加者の皆様が多くを語り合い、看護の新たな役割と倫理について考えていく会にできればと思っております。

九州は2016年4月の熊本・大分地震で被害を受けましたが、少しずつ元気を取り戻しております。大会に多くの皆様がいらして下さることが九州の励みにもなります。大分は温泉あり、海あり、山ありの自然満載の都市です。思考も心身もリフレッシュできる機会になるよう、大会関係者一同皆様のご参加をお待ちしております。


日本看護倫理学会第10回年次大会
大会長 小野 美喜
大分県立看護科学大学 教授